歴史的に見たうつ病とは

現代になって蔓延したとされる鬱病。歴史的に見るとどうなの?

今日の社会ではうつ病の患者が急速に増加していると言われます。厚生省の発表した数字でも2005年には90万人を超え、この数字は1999年当時の2倍以上に増えたということです。

これだけの数字を見ると現代の社会で異常な速さで、うつ病の患者数が増加していることになります。これはどういうことでしょう、現代の社会がストレスに満ちた状態で、うつ病の要因が増大しつづけているとも取れなくはありません。

たしかにそういう面もあるでしょう。しかし、この数字の増え方は異常といえます。本当にうつ病は現代において異常な増加を続けているのか、歴史的に見ればどうなのでしょう。この点を考えてみましょう。

1970年代、当時ひろく読まれていた心理学の書籍や、高校の保健体育の教科書には、人間の気質を3つに分類し、そこから進行しする精神的な疾患をやはり3つに分けて、躁うつ病、精神分裂、その他に分類していました。

またそこまでいかない軽い症例にはノイローゼなどの名前が付けられていました。

今日において、躁鬱という症状は双極性障害に分類されるはずですが、このように精神疾患を3つに分けるなら、重度のうつ病はほとんどが躁鬱病に分類されたはずです。また軽度のものなら、ノイローゼに分類されたと思われます。

それから、当時は精神科に出かけることが、今日に比べると世間的に引け目を感じるものに考えられ、診断を受ける人の数が遥かに少なかったと言えるでしょう。

しかもうつ病自体が以前は、なまけ病ととられていた面があり、今日においてさえ一部にはうつ病というものを認めたがらない人は見かけます。このようにうつ病が社会的に認知される以前にはその患者数は推定する事さえ困難といえます。

考えようによっては、以前からうつ病の患者数は、今と変わらないくらいあった可能性はあります。もしそうならば、以前にはうつ病が社会的に認知されておらず、患者は適切な治療を受けられず、今よりもっとひどい状態に置かれていた可能性もあります。

また一部の意見として次のような考えもあります。、うつ病患者に見られる脳内物質のアンバランスが明らかになり始め、抗うつ薬が開発され、その効果も認められるようになりました。この結果抑うつ状態の患者はうつ病と診断され、抗うつ剤の投与を受けることが多くなりました。その結果においてうつ病と診断される人が増えたという意見です。

あくまでこれは一部の意見です。うつ病患者の脳内の変化を解明して、それに対し効果のある薬品が開発されることは確かに進歩といえます。しかし、あきらかにまわりの環境からくる悲しみを負った人までもすべて抗うつ薬で解決することに疑問を投げかける意見にも耳を傾ける必要はありそうです。

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